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ワークフロー設計

複数プロジェクトを深く回す — 上級ワークシステムの選び方

複数の深いプロジェクトを並行して進めるための三つの運用方式—週テーマ制・プロジェクトスタック・レビュー主導—を比較し、それぞれの向き不向きを整理する。

Deep Work Systems Academy 編集部 約5分

三つの案件を並行して深く進めていると、毎朝最初の判断は「今日はどのプロジェクトに深いブロックを使うか」になる。その場で決めていると、選ぶこと自体に時間を取られるうえ、声が大きい案件や締め切りが近い案件にばかり時間が偏る。個々の作業をワークフローとして固定しても、パーソナルワークフローを設計するで扱ったとおり、案件をまたいで「どれを今日やるか」という上位の判断は別問題として残る。これを扱うのが、複数プロジェクトを深く回すための上級ワークシステムだ。

要点

複数の深いプロジェクトを並行して進める方式には、曜日ごとにテーマを固定する「週テーマ制」、負荷に応じて期間を割り当てる「プロジェクトスタック」、週次レビューでその週の重点を決める「レビュー主導」の三通りがある。案件数や締め切りの性質によって向き不向きが分かれ、どれか一つが万能というわけではない。

複数のプロジェクトを深く進めるときに起きる問題

案件が一つなら、深いブロックに何を入れるかで迷うことは少ない。案件が二つ、三つと増えると、切り替えのたびに前の案件の文脈を頭から追い出し、次の案件の文脈を呼び戻す作業が発生する。一日の仕事を設計するで扱った時間割の考え方は、基本的には案件が一つであることを前提にしている。案件が複数になると、時間割の「枠」だけでなく、その枠にどの案件を割り当てるかという上位のルールが必要になる。

方式1 — 週ごとのテーマ制

曜日ごとに扱う案件やテーマを固定する方式。かつてTwitterとSquareの両社を率いていたジャック・ドーシーは「I theme my days(曜日ごとにテーマを決めている)」と語り、月曜は経営、火曜は製品、水曜はマーケティングというように曜日ごとに焦点を切り替えていたと報じられている※1。この方式の利点は、朝の判断コストがほぼゼロになることだ。今日が何曜日かを見れば、扱う案件は自動的に決まる。欠点は、締め切りが曜日をまたいで迫ってきたときに柔軟に対応しづらいことと、案件数が曜日の数を超えると破綻することだ。

方式2 — プロジェクトスタック

一定期間(半日、1日、あるいは2〜3日)を一つの案件に専有させ、案件を順番に積み上げて消化していく方式。週テーマ制との違いは、割り当てが曜日という固定の器ではなく、案件の負荷に応じて可変になる点だ。締め切りが近い案件には多めの日数を割り当てられる柔軟性がある一方、割り当てを都度決める必要があり、その判断コスト自体は週テーマ制ほどには消えない。案件間の受け渡し—前回どこまで進めたか、次に何をすべきか—を毎回メモに残しておかないと、スタックを積み替えるたびに思い出す作業が発生する。

方式3 — レビュー主導の切り替え

週次レビューの場で、来週どの案件にどれだけ深いブロックを配分するかをまとめて決める方式。個人の生産性システムにおける週次レビューの考え方を、案件配分にそのまま応用したものだ※2。利点は、案件の進捗や締め切りの変化を週に一度きちんと見て配分に反映できること。欠点は、週の途中で状況が大きく変わった場合に対応が一週間遅れることと、レビュー自体を毎週きちんと実施する規律が前提になることだ。

使い分けの基準

案件数が少なく(2件程度)、それぞれの負荷が安定しているなら週テーマ制が判断コストを最も減らせる。案件数が変動し、締め切りの重みが案件ごとに違うならプロジェクトスタックの柔軟性が有利になる。案件の性質そのものが週単位で変わりやすい—たとえば新しい案件が頻繁に入ってくる—場合は、レビュー主導で都度見直す方式が現実的だ。

もっとも、この三方式は排他的ではない。週テーマ制で大枠の曜日を決めつつ、週次レビューで例外を扱う、といった組み合わせも珍しくない。重要なのは、どの方式を選ぶにせよ、案件配分のルールを「毎朝考える」対象から外し、あらかじめ決めておく点にある。どの方式にも共通する弱点は、ルール自体を守る規律がなければ、結局その場の判断に戻ってしまうことだ。

次の一歩

案件を並行させる前に、個々の作業をワークフローとして固定する方法はパーソナルワークフローを設計するを、一日単位の時間割の基本形は一日の仕事を設計するを参照してほしい。ディープワーク基礎講座では、複数案件の配分ルールを自分の仕事に合わせて設計する回を扱っている。詳細はこちら

参考文献

  • Kevin Kruse. "The Jack Dorsey Productivity Secret That Enables Him To Run Two Companies At Once." Forbes, 2015.
  • David Allen. Getting Things Done: The Art of Stress-Free Productivity. Penguin Books, 2001(増補改訂版 2015).

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